去る530日、ザ・ナハテラスにおいて第12回沖縄睡眠呼吸研究会が開催され(沖縄睡眠呼吸研究会、沖縄県薬剤師会、アステラス製薬株式会社共催)、当ヘルスツーリズム研究分野荒川教授が「観光立県沖縄と睡眠」と題して講演しました。本研究会は日本医師会生涯教育講座指定2単位、日本薬剤師研修センター認定1単位の認定講座として医師、薬剤師、医療関係者が多数参加しました。講演Ⅱでは県内で睡眠時無呼吸の第一人者である名嘉村クリニック院長・名嘉村博先生による「夢のおはなし」、講演Ⅲでは京都大学大学院医学研究科の陳和夫教授による「睡眠時無呼吸の病態生理と関連疾患」と題して両先生とも豊富なデータや実践事例による話題提供がありました。
医療系の会合に観光分野の話題提供ができることは稀なことですが、沖縄観光の多様化、医療ツーリズム、ヘルスツーリズム、ウェルネスツーリズムの推進においていずれ医療人材との融合が不可欠であることを鑑みた時、非常に有意義な機会になったのではと考えられます。
当センター荒川教授による講演では、県内の宿泊施設件数は1,411軒、客室数38,891室、収容人員は99,061人分(平成24年沖縄県内宿泊施設状況)の概況に平均稼働率55.2%を考慮すると実に5万人近い「滞在人口」が毎日沖縄に存在すること、それは北部の中核都市である名護市人口58千人に匹敵する規模であることを紹介しました。この滞在人口をしっかりと認識したアプローチが重要であることは元県文化観光スポーツ部統括監で現観光産業科学部の下地芳郎教授も言及しています。滞在中の宿泊施設の評価を決めるのは快適な休養環境を提供しているかどうか、良質な睡眠を提供するモノ(寝具、照明、防音など)、ヒト(睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士等、快眠コンシェルジュ的)の存在を含む環境整備がこれからの観光ホスピタリティ産業の大きな付加価値になるとの予測も紹介しました。
こうしたなか、沖縄には快眠に導く溢れる地域資源が存在します。自然光豊かな環境は生活リズムの調整に利用でき、海洋性の豊かな自然資源を活かした身体活動(アクティビティ)、栄養、休養環境は不眠をはじめ質の高い睡眠を得るのに大いに寄与すると考えられます。かつて当研究センターでは県事業による海浜環境を利用した健康プログラムの開発に参画し、沖縄ビーチウォーキング実施グループに、睡眠愁訴が改善し中性脂肪が減少したという実証研究も紹介しました。上質な眠りを販売戦略にとる県内ホテルも現れ、高級リゾートステイで知られるザ・テラスホテルズの良質な睡眠を得るための滞在プログラムのモデル提案事例も紹介しました。

長寿の島沖縄というイメージは平均寿命の凋落とともに損なわれつつありますが、これに代わる新しい沖縄健康イメージとして“保養、快眠の島”沖縄というのはどうだろうか、それには観光産業分野の意識改革とともに医療人財の参入が不可欠であると提言し講演を締めくくりました。
(以下、講演発表スライドの一部抜粋。*全スライド資料を希望される方はお問い合わせください


快眠を導く沖縄の溢れる地域資源

豊かな光環境を活かして生体リズム調整モーニングヨガ
 
沖縄の海洋環境を活かして快眠・メタボ改善プログラム実証
 
快眠を得るための滞在プログラムのモデル提案(ザ・テラスホテルズ)

滞在中の睡眠評価サービス

宿泊滞在型保健指導プログラムの評価システムの標準化試案

観光分野における医療系人材ニーズ、参入方法の事業検討

長寿沖縄に代わる「癒し・快眠の島沖縄」の提案